MBLA受賞者一覧

MBLA English

(敬称略)

MBLA受賞者

“MBLA 2023”受賞者

星本 陽一
受賞者
星本 陽一
大阪大学大学院工学研究科 准教授
研究テーマ
分子間フラストレーションの精密制御で実現する典型元素触媒反応の深化

研究概要

構造式
分子触媒の精密設計は、生物活性化合物および機能性材料を戦略的に合成する上で不可欠である。とくに、外部刺激応答性や分子間フラストレーションに着目した分子設計戦略は斬新である。星本氏は、ルイス塩基もしくはルイス酸がルイス酸-塩基付加体を形成する際の構造変化に着目し、分子間フラストレーションを制御する新戦略を創出することで、典型元素触媒を活用した革新的水素化反応を実現してきた。独自なトリアリールホウ素触媒を用いて、粗水素(一酸化炭素や二酸化炭素、メタンなどが混在する水素)条件下における不飽和化合物の水素化反応を世界に先駆けて実現し、分子触媒を活用した水素精製技術を提唱した成果は特筆に値する。また、外部刺激に応答して反応空間の形状や容積を大きく変化させるカルベンを用いて、典型元素錯体および有機金属錯体の新たな活用法を開拓した。

 

“MBLA 2022”受賞者

山次 健三
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受賞者
山次 健三
東京大学大学院 薬学系研究科 助教
(現所属:千葉大学大学院薬学研究院 教授)
研究テーマ
エピゲノムへの合成的介入を可能にする化学触媒の開発

研究概要

構造式
生命は生体分子とそれらに介在する化学反応のネットワークから成る。したがって、生体内・細胞内で人為的に化学反応を行う技術は、生命の化学ネットワークを理解し、操作する基盤技術となる。山次氏は、化学触媒によって細胞のエピゲノムに介入する新規の手法を開発した。山次氏は、求核触媒作用と動的結合交換反応を融合した複数の新規触媒システムを開発し、生細胞内のタンパク質に対して、天然から非天然にいたる翻訳後修飾を、酵素に依存せずに導入することに成功した。山次氏の開発したヒストンアシル化触媒は、純粋に化学的な手法によって細胞のエピゲノムに介入し細胞機能を変化させる初の例となり、細胞の化学ネットワークに合成化学的に介入する端緒を拓いた。

 

“MBLA 2021”受賞者

南保 正和
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受賞者
南保 正和
名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所 特任准教授
研究テーマ
スルホニル基を活かした逐次的分子変換反応の開発

研究概要

構造式
南保氏は有機スルホン化合物をテンプレートとする新しい合成戦略を確立し、単純かつ入手容易な原料から複雑分子群の迅速自在合成法を開発した。反応性の乏しいC–SO2結合を如何に活性化するかという従来の課題に対し、南保氏は新しい触媒・反応剤の開発とスルホニル基の分子設計に焦点を当てた研究を展開することでC–SO2結合活性化を基軸とする新しい分子変換化学を切り拓いた。本研究によって、多様なsp3炭素上の逐次的な官能基化を実現し、有機合成化学におけるスルホニル基の反応性官能基としての価値を明確に示した。

 

“MBLA 2020”受賞者

大松 亨介
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受賞者
大松 亨介
名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所 特任准教授
(現所属:慶應義塾大学理工学部 教授)
研究テーマ
イオン性分子の活用にもとづく高難度触媒反応

研究概要

構造式
大松氏は、「有機イオン対の特性を引き出す」というアプローチで、独創的な配位子ならびに触媒を開発してきた。すなわち、1) 不斉配位子が担うべきニつの機能をニつの分子に分担させたイオン対型キラル配位子、2) 卓越した立体制御能を発揮するキラルオニウム複合型ホスフィン配位子、3) 1,2,3-トリアゾリウムイオンを核とする新奇有機分子触媒、4) 効率的水素原子移動反応に資する双性イオン型トリアゾリウムアミデート、である。一連の触媒創製を出発点として、数多くの高難度分子変換反応を実現し、合成化学の進展に大きく貢献した。

 

“MBLA 2019”受賞者

平野 康次
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受賞者
平野 康次
大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻 准教授
(現所属:大阪大学大学院工学研究科 教授)
研究テーマ
極性転換の拡張に基づく新規結合形成手法の開拓

研究概要

構造式
平野氏は、従来有機合成化学で利用されてきた「カルボニル基の極性転換」の概念を芳香族化合物やヘテロ元素化学種へと拡張し、多数の新規な炭素ー炭素ならびに炭素ーヘテロ元素結合形成手法の開発に成功した。すなわち、1) 銅触媒によるC–H活性化を経由する芳香族直接カップリング、2) 銅触媒による求電子的アミノ化を利用するアルケンの高位置および立体選択的アミノホウ素化とヒドロアミノ化、3) Tf2Oを用いた求電子的ホスフィン化による炭素ー炭素/炭素ーリン連続結合形成反応ならびにホスホール類の迅速合成、である。一連の研究により高難度の分子変換を達成し、合成化学の進展に大きく貢献した。

 

“MBLA 2018”受賞者

深澤 愛子
受賞者
深澤 愛子
京都大学高等研究院物質−細胞統合システム拠点 教授
研究テーマ
第3周期典型元素の特性を生かした新奇 π 電子系の創製と機能開拓

研究概要

構造式
π 電子系は有機化合物の光・電子機能を追求する上で必要不可欠な存在である.真に優れた物性をもつ新たな π 電子系の創出は,基礎学術としての重要性はもとより,次世代エレクトロニクスや光技術の飛躍的な発展に直結する可能性をもつ.深澤氏は,特異な電子構造の実現と高い安定性の両立という観点からリン,硫黄などの第3周期典型元素の特性に着目し,独創的な分子設計により様々な π 共役化合物を生み出し,その機能を明らかにしてきた。一連の研究により,極めて高い耐光性をもつ蛍光色素や近赤外領域で効率よく発光する色素,二光子吸収材料,塗布型有機半導体など優れた機能をもつ物質を生み出しただけでなく,機能性 π 電子系の論理設計に重要な知見をもたらした。

 

“MBLA 2017”受賞者

熊谷 直哉
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受賞者
熊谷 直哉
微生物化学研究所 主席研究員
(現所属:慶應義塾大学薬学部 教授)
研究テーマ
アミド化学の新展開

研究概要

構造式
アミドは様々な天然・人工有機化合物に広く内包されている普遍的官能基である。熊谷氏は1)アミドの直接的なエノラート化法を駆使する触媒的不斉C–C結合形成反応の開発、2)アミドを不斉配位子とする固体触媒創製、3)新規ヘテロ環B3NO2骨格を特徴とするDATB触媒の開発による効率的なアミド形成反応の開発、4)立体因子をトリガーとするアミドの活性化法を開発し、アミドの化学の新たな可能性を切り拓いた。

 

“MBLA 2016”受賞者

生越 友樹
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受賞者
生越 友樹
金沢大学理工研究域物質化学系 教授
(現所属:京都大学大学院工学研究科 教授)
研究テーマ
超分子集合体を形成する柱型環状分子Pillar[n]areneの合成

研究概要

構造式
環状ホスト分子は、その空孔内部にゲスト分子を取り込むというホスト-ゲスト機能を示すため、超分子化学の分野において重要な鍵化合物である。生越氏は、簡単に合成することができる正n角柱環状ホスト分子Pillar[n]areneを見出した。さらにPillar[n]areneの多様な反応性を活かしたトポロジー・機能性分子の合成、正n角柱構造を活かした幾何学的デザインに基づく超分子材料へと展開し、世界の化学者が参画するPillar[n]arene 化学という新分野の端緒を切り拓いた。

 

“MBLA 2015”受賞者

前田 理
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受賞者
前田 理
北海道大学大学院理学研究院化学部門 准教授
(現所属:北海道大学大学院理学研究院 教授)
研究テーマ
有機反応の系統的な理解と設計へ向けた反応経路自動探索法の開発

研究概要

構造式
構造最適化計算は、化学反応の機構をコンピュータによって調べる際の強力なツールへと発展した。しかしながら、構造最適化計算では調べるべき反応機構がある程度分かっている必要がある。このため、複雑な多段階反応や機構が完全に未知である反応を解析することは難しかった。前田氏は、この問題を解決する反応経路自動探索法を開発した。前田氏の反応経路自動探索法は様々な化学反応へと応用され、反応機構、反応の選択性、分子の光応答などの解明において威力を発揮している。

 

“MBLA 2014”受賞者

鷹谷 絢
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受賞者
鷹谷 絢
東京工業大学大学院理工学研究科 准教授
(現所属:大阪大学大学院基礎工学研究科 教授)
研究テーマ
ケイ素配位子の動的挙動を鍵とする不飽和炭化水素の新分子変換反応の開発

研究概要

構造式
元素の特性を生かした新規配位子の設計に基づく高機能性金属錯体触媒の開発は、不活性分子の新規変換反応を開発する上で重要な鍵となる。鷹谷氏は、「高周期14族元素含有ピンサー型パラジウム錯体」の創製に基づき、二酸化炭素や不飽和炭化水素の新しい分子変換反応を種々開発することに成功した。また、その高周期14族元素配位子が持つ特異な触媒機能と新しい反応機構を明らかにした。

 

“MBLA 2013”受賞者

浦口 大輔
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受賞者
浦口 大輔
名古屋大学大学院工学研究科 准教授
(現所属:北海道大学触媒科学研究所 教授)
研究テーマ
反応性イオン種の制御を志向したキラル有機イオン対触媒の創製と応用

研究概要

構造式
アニオンは最も基本的な活性種であり、これを自在に制御できれば様々な立体・化学選択的結合形成が可能になる。しかし、距離と方向性があいまいなイオン間力で結ばれた対イオンによる直接的な制御は難しい。浦口氏は、水素結合供与能をもつカチオンを利用して「イオン対に形を与える」という戦略に基づき、P-スピロ型アミノホスホニウム塩およびアンモニウムベタインを創製し、これらをキラル分子触媒としてアニオン種を精密に制御することで高選択的分子変換を実現した。

 

“MBLA 2012”受賞者

鳶巣 守
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受賞者
鳶巣 守
大阪大学大学院工学研究科 准教授
(現所属:大阪大学大学院工学研究科 教授)
研究テーマ
不活性シグマ結合の触媒的変換反応の開発

研究概要

構造式
従来の手法では利用することが困難であった強固な化学結合を切断し、変換することができれば、有機合成における戦略を原理的に多様化することができる。鳶巣氏は、炭素-酸素、炭素-炭素、炭素-ケイ素結合などの不活性結合の変換を可能にする一連の触媒反応の開発に成功した。これらの反応により、メトキシ基やシアノ基を直接、種々の置換基へと変換することができる。

 

“MBLA 2011”受賞者

新谷 亮
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受賞者
新谷 亮
京都大学大学院理学研究科 助教
(現所属:大阪大学大学院基礎工学研究科 教授)
研究テーマ
遷移金属触媒による環状有機化合物の高選択的合成法の開発

研究概要

構造式
環構造を有する有機化合物は様々な分野で利用される有機物に広く見られ、その役割は非常に大きい。従って、多様な環状有機化合物を自在に合成し供給する方法の開発はきわめて重要である。新谷氏は、様々な環状有機化合物を触媒的に効率よく合成する新しい方法の開発を目的とする研究をおこなった。とくに「分子内に求核部位をもつ2価のπ-アリルパラジウム種」の触媒的発生とその利用を鍵とした新規触媒反応の開発に成功し、既存の方法ではアクセスが困難な様々な環状化合物の高選択的な合成法を確立した。

 

“MBLA 2010”受賞者

松永 茂樹
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受賞者
松永 茂樹
東京大学大学院薬学系研究科 講師
(現所属:京都大学大学院理学研究科 教授)
研究テーマ
多点配位性キラルリガンドに基づく多核協奏機能不斉触媒の開発

研究概要

構造式
松永氏は、独自の多核性不斉配位子を基盤とする様々な多核金属触媒系の開発に成功した。多核金属錯体中の適切に空間配置された各々の金属中心が協奏的に機能することで、数多くの触媒的不斉炭素─炭素及び炭素─窒素結合形成反応において高い立体選択性が実現された。含窒素化合物を中心とする種々の光学活性合成素子を高い原子効率にて合成する手法を確立すると同時に、医薬化合物の触媒的不斉合成への応用も行った。

 

“MBLA 2009”受賞者

中尾 佳亮
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受賞者
中尾 佳亮
京都大学大学院工学研究科 助教
(現所属:京都大学大学院工学研究科 教授)
研究テーマ
協働金属触媒による炭素―炭素結合形成付加反応

研究概要

構造式
分子を事前に官能基化することなく、新しい炭素―炭素結合の構築を可能にする有機合成反応の創出は、現代有機合成の最も重要な研究課題の一つである。中尾氏は、安定な炭素―水素結合および炭素―炭素結合を遷移金属とルイス酸の協働触媒作用によって活性化して、不飽和化合物を挿入させることによって新しい炭素―炭素結合を直接構築できる新反応を多数開発した。

 

“MBLA 2008”受賞者

大森 建
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受賞者
大森 建
東京工業大学大学院理工学研究科 准教授
(現所属:東京工業大学理学院化学系 教授)
研究テーマ
多環構造をモチーフとする生理活性天然物の全合成研究

研究概要

構造式
近年、比較的低分子量の二次代謝産物が、核酸やタンパク質等の巨大分子の構造や機能調節に重要な役割を果たしていることが明らかになり、注目されている。しかし標的となる化合物は複雑で不安定な構造を有するものが多いため、それらの試料供給が困難であり、関連諸分野の進展を著しく妨げている。大森氏は、既存の方法の組み合わせでは非効率あるいは到達困難な化合物を合成標的として積極的にとりあげ、それぞれの実践の場で直面する問題を、独自のアイデアに基づいた斬新な合成戦略を立案、実践することによって解決し、実際にマクロリド、多環芳香族化合物、フラボノイド等、多岐にわたる天然有機化合物の全合成に関し卓抜な成果を挙げた。

 

“MBLA 2007”受賞者

伊丹 健一郎
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受賞者
伊丹 健一郎
名古屋大学 物質科学国際研究センター 准教授
(現所属:理化学研究所 主任研究員)
研究テーマ
オレフィンや芳香族化合物の触媒的直接化学変換に基づく機能性物質合成

研究概要

構造式
有機化合物の機能発現における最も重要な基本構造のひとつである不飽和有機化合物の革新的分子変換法の確立は、合成化学者に課せられた重要な課題である。伊丹博士は、オレフィン、芳香族化合物、ナノカーボンなどの不飽和有機化合物の直接的化学変換(主に炭素_水素結合変換)を可能にする新触媒、新反応剤、新反応を開発するとともに、数々の光・電子機能性物質や薬理活性物質の創製に成功した。

 

“MBLA 2006”受賞者

寺尾 潤
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受賞者
寺尾 潤
大阪大学大学院工学研究科 助手
(現所属:東京大学大学院総合文化研究科 教授)
研究テーマ
アニオン性遷移金属錯体を触媒活性種とする炭素-炭素及び炭素-ケイ素結合形成反応の新方法論

研究概要

構造式
アニオン性錯体の特性を活用した新しい反応原理に基づく触媒系の創出を目的とし研究を行った。その結果、(i)アニオン性錯体の中心金属の高い求核性を利用するクロスカップリング反応の開発、(ii)アニオン性錯体に配位したオレフィン類の求核的活性化を鍵とする位置選択的アルキル化及びシリル化反応の開発、(iii)アニオン性錯体を1電子移動剤として利用するラジカル反応の開発に成功した。

 

“MBLA 2005”受賞者

金井 求
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受賞者
金井 求
東京大学大学院薬学系研究科 准教授
(現所属:東京大学大学院薬学系研究科 教授)
研究テーマ
触媒的不斉炭素-炭素結合形成反応の創製と応用:四置換炭素のキラリティー制御

研究概要

構造式
不斉触媒の設計において、Lewis酸-Lewis塩基多点認識概念およびソウトメタル-ハードアニオン共役触媒概念を確立し、従来は困難であった不斉四置換炭素の触媒的構築に成功した。また、開発した不斉触媒を活用し、多くの医薬化合物の合成も達成した。

 

“MBLA 2004”受賞者

井上 将行
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受賞者
井上 将行
東北大学大学院理学研究科 助教授
(現所属:東京大学大学院薬学系研究科 教授)
研究テーマ
神経細胞に作用する天然有機化合物の全合成

研究概要

構造式
複雑な化学構造を有する生理活性天然有機化合物、特にTMC-95A、MerrilactoneおよびCiguatoxin等の全合成における斬新且つ独創的な効率的合成法の開発とその優れた合成戦略。