第37回 万有札幌シンポジウム
明日を照らす有機化学
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第37回 万有札幌シンポジウムOrganizer
北海道大学触媒科学研究所 浦口 大輔
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MSD生命科学財団(旧万有製薬、旧万有生命科学振興国際交流財団を経て)の有機化学関連事業の先駆けとして始まった万有札幌シンポジウムは、今年、第37回を迎えます。北海道地区の有機化学関連領域の学生・教員等が最先端の化学に触れる貴重な機会となる重要な催しとして、本シンポジウムが長く愛されてきていることは改めて言葉にするまでもないと思います。「明日を照らす有機化学」と題した今回も、有機化学の様々な分野から各世代のトップを走る4名の先生にご講演をお願いしています。また今年は、MBLA受賞者の講演を札幌シンポジウムで楽しむことができる3年に一度の機会であり、北大卒かつ北大教員である久保田浩司先生をお迎えしますので、現役の学生諸君にとって貴重な催しとなるのではないかと思います。
形と機能を自由に生み出すことができる「分子レベルのモノづくり」という側面は、有機化学のひとつの大きな魅力です。先人の研究の積み重ねにより進化した有機合成化学は、化学的に妥当であればどのような構造と性質をもった分子であっても合成できるところまで成熟していると言われることもあります。しかし、合成過程にかかる時間や労力といったコストに目を向けると、まだまだ持続的な物質生産に耐える力が不足していると言わざるを得ないのが現実であり、今もなお、新たな反応・触媒・手法を生み出し領域に革新をもたらすアイディアが必要とされています。今シンポジウムでは、未来の有機合成化学が進むべき道を照らす先導的な化学を展開されている先生方に、ご自身の研究哲学を絡めて最新の研究内容をご紹介いただけるようお願いしており、これからの化学を担う若い世代の皆さんの刺激となることを確信しています。参加者の皆様は、この機会を様々な交流の場として有効に活用し、今後の研究への糧としていただければ幸いです。
最後になりましたが、これまで永きにわたり万有札幌シンポジウムの開催に多大なるご支援をいただいてきました公益財団法人MSD生命科学財団、ならびに鈴木國夫氏を始めとした関係の皆様の熱意と献身に心より深く感謝申し上げます。