オーガナイザーから

第33回 万有札幌シンポジウム
有機化学~その無限の可能性の追求

第33回 万有札幌シンポジウムOrganizer
北海道大学大学院薬学研究院, GI-CoRE GSD 松永 茂樹

新型コロナウイルスの影響で社会に多くの変化が起きていますが、人類は力強くかつ柔軟に困難に立ち向かっています。多くの科学者がそれぞれの専門性を活かしながら総力をあげて取り組むことで、近い将来、新しい未来が拓けるものと確信しています。これほど科学者の活躍が世界的に注目されること、切望されることはなかったのではないでしょうか? もちろん、新型コロナウイルス感染症以外にも人類が抱える地球規模の課題は山積しています。一つ一つの課題を解決し、持続可能性の高い社会実現に向けて貢献することが研究者に求められていると言えるでしょう。

さて、有機化学は、多様な分子を自由自在に設計し自らの手で機能を生み出すことが可能な学問です。そのため、周辺領域との親和性が高く多面的な研究展開が可能だという特徴があります。分子の持つ無限の可能性をとことん追求していくことで、未来を切り拓くことができます。一方、研究活動を始めたばかりの若い皆さんは、何をどのように追求していけば良いのかわからないことも多いかもしれません。教科書に書いてある既知の事実だけを勉強していればよかった時代は終わり、学べば学ぶだけ有機化学の可能性があまりに広いことに不安を覚えることもあるかもしれません。不安を覚えるのは順調に成長している証しなので心配はありませんが、不安を乗り越えた先には、一人前の研究者だけが見られる眺望が開けます。

第33回万有札幌シンポジウムでは、若い皆さんに素敵な眺望、有機化学の無限の可能性の一端をイメージしてもらうべく、5名の先生をお招きしました。新しく研究室を立ち上げ、これから有機化学の無限の可能性を独創的なアイデアで展開していこうとされている先生達です。ラジカル制御、曲がったsp2炭素、自動合成と機械学習、金属酵素の誤作動誘起、抗体―薬物複合体という講演タイトルからも、学部の講義で学習した古典的な有機化学の枠組みをはるかに越える展開がイメージできるのではないでしょうか。若手の皆さんには、化学の力で未来を切り拓く潜在力があります。是非、本シンポジウムを通じて無限の可能性を追求する勇気をもらい、自分だけの眺望を目指して挑戦と努力を続けてください。

最後になりましたが、困難が続く状況下でも万有札幌シンポジウムの開催に対して手厚いご支援を頂いている公益財団法人MSD生命科学財団に厚く御礼申し上げます。

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