オーガナイザーから

第32回 万有札幌シンポジウム
有機合成化学の道しるべ

第32回 万有札幌シンポジウムOrganizer
北海道大学大学院工学研究院応用化学部門 教授
フロンティア化学教育研究センター センター長
 大熊 毅

大学の教員として日頃から頭を悩ませているのは、どうしたら「学習」と「研究」の橋渡しを上手にできるのか、という問題です。「学習」は、古くから連綿と築き上げられてきた学理に基づく体系によって習得することが重要かつ効率的であるため、「化学」においては有機化学、無機化学、物理化学、生物化学、分析化学等に分類されています。それでは「研究」はどうでしょうか。その目的(動機)は自由であり、旧来の分類に捉われる必要はありません。社会からの要請を起点として計画される研究もあるでしょう。その場合のキーワードには、エネルギー、環境、健康、食料等があり、有機、無機等の学術的分類とは対応しません。このように、「研究」は「学習」と非連続的であり、しかも複雑で無数の選択肢があるため、研究テーマの決定はとても難しい問題です。自らの進むべき道(研究)を決める際に参考になるのは、先達の優れた実例を知ることであり、その研究哲学を学ぶことです。今年で第32回を迎える万有札幌シンポジウムは、こうした「学習」から「研究」への橋渡しに大きく貢献してきました。このシンポジウム出席者からは、すでに独創的な研究者達が育っています。次はあなたの番です。
「有機合成化学の道しるべ」と題した今回のシンポジウムは、有機合成化学を基盤とする新規方法論の開発、新機能物質の創製、生命科学へのアプローチ等の分野において最前線で活躍されている5名の先生をお招きしました。ご自身の研究テーマを選んだ経緯(問題意識)、研究への熱い想いを含め、ご講演頂けるものと思います。これから研究者を目指す学生の皆さん、研究者として一歩を踏み出した若手の皆さんの良き「道しるべ」とならんことを切に希望致します。
最後になりましたが、長年に渡り万有札幌シンポジウムの開催をご支援頂いている公益財団法人MSD生命科学財団に厚く御礼申し上げます。