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シンポジウム BANYU SYMPOSIUM

各シンポジウム組織委員ご挨拶
福岡シンポジウム

香月 勗

我が国の有機合成化学の発展を支えた
万有シンポジウム

万有福岡シンポジウム 組織委員
九州大学大学院理学研究院 教授 香月 勗

博多(福岡)では祭りで季節を感じます。5月はどんたく、7月は山笠、9月は放生会(ほうじょうや)です。由来はそれぞれですが、さまざまな困難を乗り越えて今や伝統の行事となっています。さらに5月という月は、私共にとって、万有福岡シンポジウムの季節ともなっています。1989年、札幌で万有シンポジウムが産声を上げました。有機合成化学界への支援を通して社会貢献を目指された万有製薬株式会社の熱意によるものです。鈴木氏(万有製薬)と志津里博士(慶応大学、当時)の打合せにより、札幌が開催地となったと聞き及んでおります。北大の先生方のご尽力のお陰で大変に活発なシンポジウムとなりました。夜の懇談会で、万有製薬より同様のシンポジウムをもう2箇所ほどで開催したいとの意向が示され、仙台及び福岡での開催が決まりました。1991年、兼松 顕、金政修司、中村栄一、新開一郎、玉尾皓平、丹羽治樹、山村庄亮の先生方をお迎えして第1回万有福岡シンポジウムが開かれ、第1回にもかかわらず、北部九州、山口県より260名もの方に参加頂きました。その後も、万有製薬株式会社、さらには2002年に設立されました万有生命科学振興国際交流財団の暖かいご支援を戴いて毎年開催され、九州のみならず、中四国から600名近くの方が参加されております。この間、2001年には、野依良治先生、新海征治先生、柴崎正勝先生、向山光昭先生をお迎えして第10回記念シンポジウムが開催されました。来年5月には、第20回シンポジウムが開催される運びとなっております。各地の万有シンポジウムで、多くの学生の人たちが最先端の化学に触れ、有機化学への志を高めたものと思います。また多くの若手研究者が刺激を受けてきました。

万有生命科学振興国際交流財団は国際的Nagoya medalを始めとし、有機合成化学分野の優秀な若手の顕彰のために万有奨励賞を設けられ、九州地区では2000年に入江亮博士(現熊本大学教授)、2003年に木村正成博士(現長崎大学准教授)が受賞しています。その後、奨励賞はLectureship Award MBLAに発展し、若手有機化学者の登竜門となっています。米国講演ツアーを通して、日本の若手有機化学者の実力を世界に知らしめる機会となっています。

大変に残念なことに、Merck の都合で万有つくば研究所が閉鎖となりました。これまでの有機合成化学界への多大な貢献に深甚なる感謝の意を込めまして、万有生命科学振興国際交流財団が、苦境を克服されさらに発展されますことを、切に祈念申し上げます。

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