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研究助成 RESEARCH PROMOTION

研究助成 Banyu Foundation Research Grant 震災特別支援
交付者

研究者へのメッセージ

「研究者へのメッセージ」
万有財団は、選考委員からのメッセージを交付者へお届けいたしました。

(五十音順・敬称略)

循環器領域

青沼 和隆(アオヌマ カズタカ)
(筑波大学大学院人間総合科学研究科 循環器内科学 教授)

研究テーマ:糖尿病性心筋症の実態に迫る
  • 研究方法:糖尿病マウス(ob/ob,db/db)および糖尿病で問題となる脂質代謝障害マウスの心機能障害を評価する。心エコーによるマウス心機能評価系の確立にあたり、まず最初にエコー画像を評価しやすいラットにおいて、心機能障害の評価項目を確立した。
  • 研究成果:糖尿病性心筋症の病態を描出可能にし新たな治療法の開発につながると考えられる。ダール食塩感受性ラットの心機能障害を心エコーにて経時的に評価し、早期障害のマーカーとして測定項目(Longitudinal Strain)が有用であることが見出された。このことは糖尿病性心筋症の心機能障害マーカーとして応用できると考えられる。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    Rumi Koshizuka, Kazutaka Aonuma : Left Ventricular Longitudinal Contraction Abnormality Reflects Subendocardial Fibrosis in Heart Failure with Preserved Ejection Fraction. American Heart Association scientific sessions (Orland, USA) , 11月,2011
上月 正博(コウヅキ マサヒロ)
(東北大学大学院医学系研究科 内部障害学分野 教授)

研究テーマ:電気刺激を用いた血管新生療法
  • 研究方法:患者の下肢骨格筋に周波数や電流強度、パルス幅などさまざまな条件の電気刺激を与え、血管新生、血流改善、体力向上に最も適した電気刺激条件を設定すること
  • 研究成果:下肢・腹筋刺激では筋力が改善した。
    電気刺激による血流改善、運動耐容能改善などを計測中である。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    平成24年リハビリテーション医学会など
笹野 公伸(ササノ ヒロノブ)
(東北大学大学院医学系研究科 医科学専攻病理病態学講座 病理診断学分野 教授)

研究テーマ:血圧の日内変動とアルドステロン
  • 研究方法:マウスの動物実験で日内変動と密接な関わりを有する事が認められた3beta-hydroxysteroid dehydrogenase 6型に相当するヒト3beta-hydroxysteroid dehydrogenase 1型に対しての特異的抗体を用いてヒト正常副腎皮質、idiopathic hyperaldosteronism, aldosteronoma等の副腎検体を東北大学医学部倫理委員会の承認後免疫組織化学的に検討した。あわせて日内変動と密接な関係を示す時計遺伝子であるper1と3beta-hydroxysteroid dehydrogenase 2型、B2、c17の免疫組織化学も行い得られた結果の生物学的、臨床的意義を総合的に検討した。
  • 研究成果:ヒト副腎皮質ではc17が陰性の球状層で3beta-hydroxysteroid dehydrogenase 1型の発現は亢進しており、idiopathic hyperaldosteronism のhyperplasiaを呈する副腎皮質球状層では最も顕著な発現を認めた。しかしaldosteronomaの腫瘍細胞とその付随副腎皮質のhyperplasiaを呈する球状層では発現は認められなかった。per1は皮質細胞で広くその発現が見られたが球状層で比較的強い発現を示す傾向が認められた。B2と3beta-hydroxysteroid dehydrogenase 2型の発現との相関は現在検討中である。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    ヒト副腎組織における3β-HSD subtype の発現および特異性
    前川尚志1)、中村保宏1)、土居雅夫2)、佐藤文俊3)、伊勢和恵1)、フェリゾラサウロ1)、岡村均2)、笹野公伸1)
    1) 施設名 東北大学大学院 医学系研究科 病理診断学
    2) 施設名 京都大学大学院 薬学研究科 医薬創成情報科学講座システムバイオロジー分野
    3) 施設名 東北大学大学院 医学系研究科 腎高血圧内分泌分野
下川 宏明(シモカワ ヒロアキ)
(東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学分野 教授)

研究テーマ:心不全の発症・進展におけるRhoキナーゼ経路の役割の検討
  • 研究方法:心不全患者の血液サンプルおよび心筋生検サンプルを用いて、ヒトの心不全発症・進展において、病期別にRhoキナーゼタンパクの発現および活性の亢進を検討し、心不全の発症機序と病態を検討する。
  • 研究成果:心不全患者において、Rhoキナーゼタンパクの発現および活性が亢進していることを確認した。心不全急性期ではさらに亢進することを認めたことから、Rhoキナーゼ経路は心不全の治療標的となり得ることを明らかにした。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    第76回日本循環器学会学術集会
竹石 恭知(タケイシ ヤスチカ)
(福島県立医科大学医学部  循環器・血液内科学講座 教授)

研究テーマ:Senescence marker protein 30 による心臓リモデリングの抑制
  • 研究方法:Senescence marker protein 30ノックアウトマウスにアンジオテンシン II を持続投与し、心臓リモデリングの過程を野生型マウスと比較した。
  • 研究成果:Senescence marker protein 30ノックアウトマウスでは、野性型マウスに比し、アンジオテンシン II 投与後の心臓線維化、心機能低下が抑制された。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    アメリカ心臓学会(AHA Scientific Session 2011)、国際心臓研究学会(YIA finalist)、日本循環器学会学術集会(H23年3月予定)
仲井 邦彦(ナカイ クニヒコ)
(東北大学大学院医学系研究科 発達環境医学分野 教授)

研究テーマ:乳児期における授乳の有無と7歳児の家庭血圧
  • 研究方法:授乳期間と7歳児の家庭血圧との関連を検討した。対象は周産期における環境由来化学物質が子どもの発達に及ぼす影響を調べるコホート調査に登録している対象者のうち、自記式アンケートから授乳期間に関する情報が得られ、家庭血圧を3日以上測定した377組の母児である。
  • 研究成果:母乳を主栄養源とした期間で対象者を2分割し家庭血圧を比較した結果、児の家庭血圧は、母乳を主栄養源とした期間が短期の群(収縮期血圧/拡張期血圧=94.5/56.3mmHg)に比して、長期の群(92.8/55.0mmHg)が有意に低値となった(P=0.006/0.03)。また重回帰分析において、母乳を主栄養源とした期間と児の家庭血圧に有意な負の関連が認められた。この結果から、母乳を主栄養源とした期間が長いほど、7歳児の家庭血圧値は低値であり、母乳栄養が小児期の血圧上昇に対する防御的作用を持つ可能性が示唆された。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    現在、Breast-feeding lead to lower blood pressure in 7-year-old Japanese children: Tohoku Study of Child Developmentというタイトルで、Hypertensionに投稿中である。
藤村 昭夫(フジムラ アキオ)
(自治医科大学 薬理学講座 分子薬理学部門 教授)

研究テーマ:V1bバゾプレッシン受容体の循環機能における役割の解明
  • 研究方法:V1bノックアウトマウスと拮抗薬を用いて循環機能におけるV1b受容体の役割を解明する。V1b受容体は下垂体内分泌や膵内分泌機能、中枢機能などに関与することが判明しているが、循環機能への影響については未だ明らかでない。そこで野生型マウスと遺伝子改変マウスを用いて循環動態に差異が存在するかについて、血圧、心機能について検索を行う。また、受容体拮抗薬を用いて受容体遺伝子改変における機能変化の普遍性を検討する。
  • 研究成果:飼育室を立て直し、動物は実験に用いることができるようになった。またin vitroの解析を進めた結果、ユニークな受容体拮抗薬を見出すことに成功した。特に受容体の構造と拮抗薬の構造との相関について、V1b受容体以外の受容体に応用できる可能性があり本研究分野の新たな展開が期待される。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    1. Fujiwara, Y., et. al. European journal of pharmacology, 670(1): p. 208-15. 2011.
    2. Tsuchiya, H., et. al. Regulatory toxicology and pharmacology. 2011 (in press)
    3. Koshimizu TA., et. al. Physiological Reviews 2012 (under revision)
丸山 幸夫(マルヤマ ユキオ)
(星総合病院 循環器センター(循環器内科) 総長院長)

研究テーマ:ヒト冠動脈硬化病変における種々の血管内イメージングを用いた発症・進展機序の解明
  • 研究方法:ヒト冠動脈病変においてintravascular ultrasound (IVUS)と血管内optical coherence tomography (OCT)によりplaque組織性状などを観察し、臨床所見、生化学的データと対比させることによりヒト動脈硬化における組織レベルでの発症・進展機序を解析する
  • 研究成果:生化学的な炎症のバイオマーカーである高感度CRPの増減と、冠動脈硬化病変の組織性状の変化には一定の相関関係のあることが示唆された
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    AHA SCIENTIFIC SESSIONS 2011 Nov.13-No.7134
柳澤 輝行(ヤナギサワ テルユキ)
(東北大学大学院医学系研究科 分子薬理学分野 教授)

研究テーマ:心不全モデルとしての心室筋アポトーシスの人工的誘導
  • 研究方法:薬物により誘発される心筋アポトーシスによる心不全モデルとして、ラット心筋培養細胞H9c2をアジドチミジン(AZT)で処理することで誘発されるミトコンドリア機能障害とそれにより誘発されるアポトーシスの分子機構について解析を行った。
  • 研究成果:AZTで処置したH9c2細胞では、ミトコンドリアの形態変化が起きることが透過型電子顕微鏡の観察で明らかとなった。AZT処理を行うと細胞内活性酸素産生が亢進し、それに伴いミトコンドリア内膜の膜電位の低下、アポトーシスが進行することを見いだした。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    2012年2月日本脈管作動物質学会第41回年会、同3月日本薬理学会第85回年会にて研究成果を報告する。

動脈硬化領域▲ページ最上段へ

長崎 幸夫(ナガサキ ユキオ)
(筑波大学大学院数理物質科学研究科 バイオマテリアル研究室 教授)

研究テーマ:動脈硬化治療を目指したレドックスナノメディシンの開発
  • 研究方法:水中で自己組織化し、数十ナノメートルサイズのナノ粒子を形成する高分子に活性酸素を消去するレドックス触媒能を導入したレドックスナノメディシンを作製する。高脂血症・動脈硬化モデルマウスのLDLR欠損マウスを作成し、レドックスナノ粒子(RNPと略記する)を自由節水にて経口投与し、投与12週間後に血中パラメーター、血圧、動脈硬化病変形成評価を行った。
  • 研究成果:今回の結果では投与量の最適化がすんでいないため、血中脂質量や収縮期血圧について統計的有意差が見られなかったものの、継続して評価を続けていく。一方RNPの投与で静脈硬化変の形成が認められ、静脈硬化変にナノ粒子、RNPが直接作用している可能性を示唆する。今度さらなる検討を重ねていく。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    材料の設計に関しては特許申請後、高分子学会にて発表する予定である。また、評価に関しては加齢学会、バイオマテリアル学会、酸化ストレス学会等の発表を検討中である。

糖尿病領域▲ページ最上段へ

伊藤 貞嘉(イトウ サダヨシ)
(東北大学大学病院 腎高血圧内分泌学分野 教授)

研究テーマ:(プロ)レニンレセプターの炎症細胞における役割
  • 研究方法:ヒト炎症細胞における、(プロ)レニンレセプター{(P)RR}の発現をリアルタイムPCRで調べ、ウエスタンブロッティング法でレセプターの検出を行う。また(P)RRがどの細胞で特異的に発現しているのかについて標識抗体を用いてフローサイトメトリーで解析を行う。
  • 研究成果:ヒトリンパ球に(P)RRが発現していることを、リアルタイムPCR、ウエスタンブロッティング法により明らかにした。さらに、フローサイトメトリーによる解析から(P)RRがリンパ球の中でも、T細胞とNK細胞における発現が顕著であることを明らかにした。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    第15回日本心血管内分泌代謝学会学術総会(2011年11月大阪)、P2R Symposium(2011年12月フランス)、第55回日本腎臓学会学術総会(2012年6月横浜発表予定)
片桐 秀樹(カタギリ ヒデキ)
(東北大学大学院医学系研究科 代謝疾患学分野 教授)

研究テーマ:神経を介した肝臓―膵β細胞間ネットワークによる膵β細胞制御機構の解明
  • 研究方法:糖代謝の恒常性を保つためには、インスリンを産生する膵β細胞量の維持が重要である。研究代表者らは最近、個体のインスリン需要に対応して膵β細胞量を制御する、神経を介した肝臓─膵β細抱間のネットワークを発見した。本研究ではこのネットワーク機構の解明を試みるため、肝におけるERK経路活性化に伴う遺伝子発現変化の網羅的解析やその際の膵島における遺伝子発現変化の網羅的解析を行った。
  • 研究成果:アデノウィルスによる肝でのERK経路の活性化にて、肝では、分泌因子を含む非常に多くの遺伝子発現変化を認めた。さらに、膵島にても、細胞増殖に関わることが報告されている一群の遺伝子発現変化を認めた。現在、これらのパスウェイが肝臓─膵β細抱間のネットワークに関与するかの検討を進めている。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    Imai J and Katagiri H, Regulation of pancreatic beta-cells by neuronal signal Strategic Danish-Japanese Cooperative Program on Molecular Diabetology, October 21, 2011 Copenhagen Denmark.
    Imai J and Katagiri H, Regulation of insulin secretion by inter-organ network, Beta Cell Workshop 2011, Oct. 23-26, 2011, Copenhagen Denmark.
    These works were partially supported by Banyu Life Science Foundation International.
神崎 展(カンザキ マコト)
(東北大学大学院医工学研究科 病態ナノシステム医工学分野(神崎研究室) 准教授)

研究テーマ:インスリン抵抗性時におけるGLUT4ソーティング障害に関する研究
  • 研究方法:独自に開発したGLUT4分子挙動の定量解析系を駆使することにより、脂肪細胞と筋細胞のGLUT4輸送制御とその病態での障害の病態分子基盤を明らかにする。
  • 研究成果:インスリン反応性糖輸送担体(GLUT4)のソーティング制御過程において、トランスゴルジ網への逆行性輸送経路の重要性をはじめて明らかにした。さらに、インスリン抵抗性病態では、このソーティング過程に障害が生じていることも見いだした。今回明らかにされた病態分子基盤は、インスリン抵抗性の新規治療標的として価値が高いと考えられる。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    2011アメリカ細胞生物学会にて発表(デンバー, Dec.3-7)
佐藤 博(サトウヒロシ)
(東北大学大学院薬学研究科 臨床薬学分野 教授)

研究テーマ:高血圧関連遺伝子の糖尿病性腎症・妊娠高血圧症における役割
  • 研究方法:内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)欠損マウスはsFlt-1を過剰発現して作成した妊娠高血圧腎症モデルの高血圧・蛋白尿・GFRの低下を悪化させ、この病態にはエンドテリン-1およびETA受容体の上昇によるところが大きいことを明らかにした。また、eNOS欠損マウスを糖尿病にすると糖尿病性腎症が悪化し、この病態には血液凝固第三因子の上昇によるところが大きいことを明らかにした。
  • 研究成果:1. Li F, Hagaman JR, Kim H-S, Maeda N, Jennette JC, Faber JE, Karumanchi SA, Smithies O, Takahashi N. Endothelin aggravates preeclampsia-like phenotype induced by sFlt-1 in mice lacking eNOS J Am Soc Nephrol (in press)
    2. Li F, Takahashi N. eNOS and diabetic nephropathy Journal of Nephrology & Therapeutics (submitted)
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    Li F, Hagaman JR, Kim H-S, Maeda N, Jennette JC, Faber JE, Karumanchi SA, Smithies O, Takahashi N. Endothelin aggravates preeclampsia-like phenotype induced by sFlt-1 in mice lacking eNOS(平成23年10月日本高血圧学会、高得点演題 口頭発表)
島野 仁(シマノ ヒトシ)
(筑波大学大学院人間総合科学研究科 疾患制御医学専攻 臨床医学系内分泌代謝・糖尿病内科 教授)

研究テーマ:肝臓における転写因子によるエネルギー代謝調節メカニズムの解明
  • 研究方法:アデノウイルスを用い肝臓に一過性に発現、および遺伝子改変マウスを用いての絶食/非絶食や種々の栄養負荷実験を行い、肝臓での転写因子の影響を体重、組織重量、血清指標、耐糖能、遺伝子発現、摂餌量によって比較検討する。
  • 研究成果:アデノウイルスによる肝臓特異的CREBH過剰発現マウスの検討により、CREBHは体重の減少(脂肪組織及び非脂肪組織重量の低下)、摂餌量、血中脂質、血糖値、インスリン値の低下をもたらすことが明らかとなった。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    第35回 日本分子生物学学会年会
堂浦 克美(ドウウラ カツミ)
(東北大学大学院医学系研究科 神経化学講座 教授)

研究テーマ:グルコーストランスポーターSGLTを介した神経変性疾患発症遅延の分子機構解明研究
  • 研究方法:SGLTを介して取り込まれる一連のグルコースアナログが認知症モデル動物において発症遅延効果がある。その作用メカニズムを解明するため、脳と末梢組織においてDNAマイクロアレイ解析と抗体マイクロアレイ解析を実施し、遺伝子発現とタンパク質発現についてプロフィリングを行い、認知症発症遅延に関係する候補因子群を絞り込んだ。
  • 研究成果:SGLTを介して取り込まれるグルコースアナログを持続投与した認知症モデル動物の脳や末梢組織で、投与開始後0.5カ月、1カ月、2カ月目において遺伝子発現とタンパク質発現を調べたところ、遺伝子発現では3時点で一定した有意な変動を示すものは絞り込めなかったが、タンパク質発現では特定のサイトカインに関係する因子群に一定の有意な変動パターンが観察された。これらの因子群の変動と認知症発症遅延との関係について、遺伝子操作技術、組換えタンパク、抗体、選択的阻害剤等の可能な手段を用いてビボで検証実験をすすめている。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    認知症発症遅延に関わる作用因子群が特定できた段階で、論文化および関連学会・国際会議等での発表を予定している。
富岡 佳久 (トミオカヨシヒサ)
(東北大学大学院薬学研究科 がん化学療法薬学分野 教授)

研究テーマ:糖尿病性腎障害時における血中および尿中グアニジノ化合物類の変動解析
  • 研究方法:既に我々の研究室にて確立した、LC/MS/MSを用いた生体内グアニジノ化合物定量法を応用し、病態モデル動物生体中グアニジノ化合物の測定を行う。特にGSA及びADMAを初めとする尿毒症化合物濃度変化と腎機能障害の関係を明らかにすることで、これらの化合物が、病態を反映する新規バイオマーカーとなる可能性を示す。腎機能障害モデル動物より、血液及び尿を採取し、アセトニトリル(0.1%ギ酸)にて前処理を行った後、試料をLC/MS/MSにて測定を行う。コントロール群と比較した有意性を判断し、本測定系及び新規バイオマーカーとしての有用性の評価を行う。
  • 研究成果:腎機能障害モデルにおいてGSAが有意に増加する結果が得られ、新規バイオマーカーとしての有用性が示された。また本測定系を用いて様々な生体試料中グアニジノ化合物について定量を行った結果、全ての組織において化合物が検出された。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    第32回グアニジノ化合物研究会(平成23年10月29日-酒田)、第50回日本薬学会東北支部大会(平成23年10月30日-仙台)
野原 恵子(ノハラ ケイコ)
(独立行政法人国立環境研究所 環境健康研究センター 分子毒性機構研究室 室長)

研究テーマ:環境化学物質曝露が2型糖尿病の発症を導く機構の解明
  • 研究方法:エピジェネティック作用を有する環境化学物質である無機ヒ素を胎児期に曝露されたマウスが後発的に2型糖尿病を発症するか、また発症するとすればどのような機構により発症誘導されるか検討した。さらに、無機ヒ素が2型糖尿病発症を導く感受性を決定する要因についても検討を行った。
  • 研究成果:成長後の雄の胎児期ヒ素曝露群において、対照群と比較して随時血糖の有意な上昇が確認された。この随時血糖上昇の原因をさらに詳しく探るため、腹腔内糖負荷試験を行った。その結果、糖負荷後の血糖値の上昇とインスリン分泌量の上昇が確認された。さらにインスリン負荷試験を行ったところ、対照群と比較してインスリン負荷後の血糖値が高値を示した。これらの結果は、胎児期ヒ素曝露による血糖上昇はインスリン抵抗性により誘導される可能性が高いことを示している。現在、どのような仕組みでインスリン抵抗性が形成されるのか検討を行っている。
    またこの研究では、雌では胎児期に無機ヒ素を曝露されても高血糖が誘導されなかったことから、ヒ素曝露による2型糖尿病発症の感受性に性差が関係する可能性を明らかにすることができたが、それに加えてヒ素曝露時刻が感受性に関わる可能性を示す結果も得られているので、こちらもさらに詳しく検討を行っている所である。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    (学会発表)
    1.前川文彦、榛葉繁紀、内匠正太、大和田美佳、包金花、野原恵子 肝臓におけるDNAメチル基転移酵素遺伝子発現の概日周期:摂食と時計遺伝子の役割 第32回日本肥満学会大会 兵庫 淡路夢舞台国際会議2011年9月23-24日
    2 . 前川文彦、榛葉繁紀、内匠正太、大和田美佳、包金花、野原恵子 環境応答に関わるDNAメチル基転移酵素の時計遺伝子による発現制御 第14回環境ホルモン学会 東京大学山上会館2011年12月1-2日
谷内 一彦(ヤナイ カズヒコ)
(東北大学大学院医学系研究科 機能薬理学分野 教授)

研究テーマ:インスリン分泌および糖代謝における膵β細胞ヒスタミン3型受容体の役割
  • 研究方法:ヒトやマウスの膵臓組織標本を用いて、ヒスタミン3型受容体がインスリン産生β細胞に発現しているかどうかを検討した。またインスリン産生β細胞の細胞株であるMIN6細胞を用いてヒスタミン3型受容体のインスリン分泌や細胞増殖における役割について解析した。
  • 研究成果:インスリンを産生する膵ランゲルハンス島β細胞にヒスタミン3型受容体が発現していることを初めて明らかにした。また、このヒスタミン3型受容体はインスリン分泌やβ細胞の増殖に重要な役割を果たしていたことから、今後糖尿病治療の分子標的となり得ることを示した。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    学会発表4件
    中村正帆、吉川雄朗、大杉真也、長沼史登、野口直哉、谷内一彦、膵β細胞に発現しているヒスタミン3型受容体はブドウ糖刺激インスリン分泌を抑制する。 第84回日本生化学会大会 2011年9月21-24日、京都
    中村正帆、大杉真也、吉川雄朗、膵β細胞におけるヒスタミン3型受容体の発現とインスリン分泌での役割。 第62回日本薬理学会北部会 2011年9月29-30日、仙台
    中村正帆、吉川雄朗、野口直哉、大杉真也、笠島敦子、笹野公伸、谷内一彦、インスリン分泌膵β細胞におけるヒスタミン3型受容体の発現と機能。 第15回日本ヒスタミン学会 2011年10月21-22日、盛岡
    Tadaho Nakamura, Takeo Yoshikawa, Kazuhiko Yanai, The expression of histamine H3 receptor in pancreatic β-cells, 5th east Asian pacific student workshop on nano-biomedical engineering, 12-15th , Dec, 2011, Singapore
山添 康(ヤマゾエ ヤスシ)
(東北大学大学院薬学研究科 薬物動態学分野 教授)

研究テーマ:インシュリン抵抗性モデルによるFGF19シグナルの糖/脂質代謝改善作用の解析
  • 研究方法:インシュリン抵抗性モデルで肝内脂質レベルが上昇している胆汁酸受容体farnesoid X receptor (FXR)欠損マウスに大腸菌で発現させたヒト組換fibroblast growth factor 19(FGF19)を400mg/kgあるいは4mg/kgで3日間静脈内投与した後、肝内の脂質レベル、脂質代謝関連遺伝子の発現を解析した。オイルレッドO染色により肝臓の脂肪の蓄積を評価した。ヒト肝癌由来HepG2細胞にFGF19を50ng/mlで24時間処理し、脂質代謝関連遺伝子発現を解析した。
  • 研究成果:Fxr欠損マウスにFGF19を投与すると肝内トリグリセリドレベルはFGF19の400mg/kg投与で、遊離脂肪酸レベルは、4mg/kg投与から有意に減少した。肝組織のオイルレッドO染色によりFxr欠損マウスで認められた肝脂肪滴がFGF19投与により有意に減少した。一方肝臓の総コレステロールレベルは変化しなかったが、総胆汁酸レベルは減少した。肝臓の脂質代謝関連遺伝子のうち胆汁酸合成律速酵素のCyp7a1、肝臓への脂肪酸取り込みに関与するCd36、トリグリセリド、脂肪酸合成に関与するScd1Acc1の発現がFGF19投与により有意に減少した。HepG2細胞へのFGF19投与においてもこれらの遺伝子の有意な発現低下が認められた。以上の結果よりFGF19はインシュリン抵抗性モデルにおいて肝臓の脂肪合成や肝臓への脂肪酸取り込みを低下させ肝脂質代謝を改善する可能性が示された。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    M. Miyata, Y. Sakaida, H. Matsuzawa, K. Yoshinari and Y. Yamazoe, Amelioration of disrupted hepatic lipogenesis in Fxr-null mice by human FGF19 treatment, Biol. Pharm. Bull.34, 1885-1889 (2011).
渡辺 毅(ワタナベ ツヨシ)
(福島県立医科大学医学部  腎臓高血圧・糖尿病内分泌代謝内科学講座 教授)

研究テーマ:ヤーコンの糖代謝に及ぼす影響についての研究
  • 研究方法:ヤーコンを6.5%混在させた通常餌を投与したZucker fattyラット群とサトイモを6.5%混在させた通常餌を投与したZucker fattyラット群(コントロール群)の2群に分けて5週間飼育し、高インスリン・グルコース・クランプ実験を施行し、インスリン感受性を評価した。
  • 研究成果:体重は、ヤーコン投与群とコントロール群において有意な差は認められなかった。空腹時血糖値は、ヤーコン投与群で有意に低下傾向を示した。高インスリン・グルコース・クランプ実験において、basal hepatic glucose output (HGO)は、ヤーコン投与群で有意に減少した。また、suppression of HGOもヤーコン投与群でコントロール群と比較して有意に減少し、肝臓におけるインスリン抵抗性の改善が認められた。しかし、glucose disposal rateは、2群間に有意な差は認められず、末梢組織、特に筋肉組織でのインスリン抵抗性改善効果は認められなかった。さらに、ヤーコン投与群のクランプ実験後肝臓におけるAktのリン酸化は100%増強し、Aktのリン酸化を抑制するTRB-3遺伝子の発現は50%減少していた。以上の結果より、ヤーコンは、インスリン抵抗性糖尿病モデル動物において、肝臓でのインスリン感受性を改善させる作用を有することが示唆された。その作用機序は、肝臓におけるTRB-3遺伝子発現の減少を介して、Aktのリン酸化が増強されることにより肝糖新生が抑制されると考えられる。現在、ノックアウトマウスを用いて詳細な機序について検討中である。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    論文作成中

呼吸器・アレルギー領域▲ページ最上段へ

五十嵐 和彦(イガラシ カズヒコ)
(東北大学大学院医学系研究科 生物化学分野 教授)

研究テーマ:Bach2遺伝子欠損マウスを用いた肺胞蛋白症発症機構の解明
  • 研究方法:Bach2は、主に血液系に発現する転写抑制因子である。Bach2遺伝子欠損マウスは肺胞サーファクタントの貯留、泡沫状肺胞マクロファージを認め、肺胞蛋白症様の病態を示す。肺胞蛋白症は肺胞マクロファージの機能異常が報告されており、Bach2遺伝子欠損マウス肺胞マクロファージの機能および遺伝子発現プロファイルを解析することで、肺胞蛋白症発症機構を解明する。
  • 研究成果:マクロファージは、炎症を引き起こすM1型マクロファージと抗炎症に作用するM2型マクロファージとに大別される。Bach2遺伝子欠損マウス肺胞マクロファージはM2型への分化が増強し、貪食能が低下していることを見いだした。また、Bach2遺伝子欠損マウスにおける肺胞蛋白症の発症を骨髄移植により予防できることを明らかにした。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    英文論文投稿中
石井 直人(イシイ ナオト)
(東北大学大学院医学系研究科 免疫学分野 教授)

研究テーマ:免疫系ヒト化マウスの開発
  • 研究方法:超免疫不全マウス(NOD/scid/IL2RγKO;NOGマウス)にヒト造血幹細胞を移植することにより、ヒト免疫細胞をマウス内に再構築することに成功した。同マウスを利用して、ヒト獲得免疫反応およびヒトアレルギー反応をマウス内で解析可能とするマウスモデルの開発を行う。
  • 研究成果:HLA遺伝子導入超免疫不全NOGマウスを作製し、導入HLAとハプロタイプが一致するヒト造血幹細胞を移植した。ヒト免疫細胞が出現後、タンパク抗原を免疫したところ、抗原特異的IgGの産生が観察された。従来のヒト化マウスでは不可能であった、抗原特異的抗体の産生に成功した。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    免疫学の学術雑誌に発表予定
柴原 茂樹(シバハラ シゲキ)
(東北大学大学院医学系研究科 細胞生物学講座分子生物学分野 教授)

研究テーマ:肺循環血流の制御と換気応答の分子基盤の解明
  • 研究方法:気道における低酸素感知器官である神経上皮小体に由来するH146ヒト小細胞肺がん細胞を用い、ヘムオキシゲナーゼ1と2の発現(mRNAとタンパクレベル)を解析した。なお、対照としてヒト網膜色素上皮細胞株を用い、同様の解析をした。
  • 研究成果:H146小細胞肺がん細胞ではへムオキシゲナーゼ2の発現が優位であることを確認した。一方、網膜色素上皮細胞株では、ヘムオキシゲナーゼ1と2の両者の発現が検出された。停電により温度上昇した冷凍庫に保存していた凍結細胞株と新規購入の抗体などが使用可能であることを確認できた。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    本格的な研究はこれからであるが、今後努力し、研究成果を平成24年度日本生化学会大会にて発表の予定である。
檜澤 伸之(ヒザワ ノブユキ)
(筑波大学大学院人間総合科学研究科 呼吸器内科グループ 教授)

研究テーマ:気管支喘息遺伝子多型(SNP)網羅的解析と変動遺伝子の機能解析
  • 研究方法:ヒト気管支喘息発症に関連する遺伝子多型のGenome-wide association studyによる網羅的解析を行い、日本人における疾患関連候補遺伝子を選定した。
  • 研究成果:ゲノムワイド解析の結果、日本人の成人喘息の発症感受性と関連する5つの遺伝子座を同定した。今後、これら疾患関連候補遺伝子の喘息に対する役割について遺伝子改変動物等で確認していく。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    Hirota T, Takahashi A, Kubo M, Tsunoda T, Tomita K, Doi S, Fujita K, Miyatake A, Enomoto T, Miyagawa T, Adachi M, Tanaka H, Niimi A, Matsumoto H, Ito I, Masuko H, Sakamoto T, Hizawa N, Taniguchi M, Lima JJ, Irvin CG, Peters SP, Himes BE, Litonjua AA, Tantisira KG, Weiss ST, Kamatani N, Nakamura Y, Tamari M. Genome-wide association study identifies three new susceptibility loci for adult asthma in the Japanese population. Nat Genet 31;:893-6, 2011
平澤 典保(ヒラサワ ノリヤス)
(東北大学大学院薬学研究科 生活習慣病治療薬学分野 教授)

研究テーマ:環境化学物質によるアレルギーの増悪化作用
  • 研究方法:ある種の環境化学物質はthymic stromal lymphopoietin(TSLP)の産生を介してマウスの皮膚アレルギーを増悪化する事を明らかにしてきた。そこで本研究はさらに上皮に発現の高いアリルハイドロカーボン受容体のアゴニストがTSLP産生を亢進するかどうか、in vitroおよびin vivoにおいて解析した。
  • 研究成果:アリルハイドロカーボン受容体アゴニスト作用をもつβ-naphthoflavoneをマウス耳介に塗布したところ、CYP1B1のmRNAの発現は見られた。そこで組織ホモジネート中のTSLP蛋白をELISAで測定したところ、この産生は認められなかった。また、ケラチノサイト株PAM212細胞にアリルハイドロカーボン受容体mRNAが高発現している事を確認した。そこで、β-naphthoflavoneで本細胞を刺激したが、TSLPの産生は認められなかった。したがって環境中のアリルハイドロカーボン受容体刺激化学物質にはTSLPの産生を高める作用はないと考えられる。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    日本薬学会第132回年会発表予定

臨床疫学・薬剤疫学・生物統計学領域▲ページ最上段へ

有馬 隆博(アリマ タカヒロ)
(東北大学大学院医学系研究科 環境遺伝医学総合研究センター 情報遺伝学分野 教授)

研究テーマ:生殖補助医療(ART)と遺伝子刷り込み(ゲノムインプリント)異常症の関連に関する研究
  • 研究方法:全国多施設の協力下に、先天性インプリント病に関する疫学調査(臨床像、治療内容、治療経過、合併症等)に加え、遺伝子診断(FISH、メチル化解析)を行う。その結果を基に、発症機序と病態、治療実態について疾患毎に評価する。また、メチル化異常の頻度、程度とART治療内容との関連性について疾患別に交絡要因を考慮し、正確に評価する。
  • 研究成果:(1)先天性ゲノムインプリンティング病5疾患に関する全国調査
    3158対象施設のうち、1602施設から有効回答があり(有効回答率56.3%、報告患者総数は1818人であった。Beckwith-Wiedermann症候群(BWS)216人、Angelman症候群(AS)415人、Prader-Willi症候群(PWS)992人、Silver-Russell症候群(SRS)161人、新生児一過性糖尿病(TNDM)34人であった。このうちPWS、BWS、AS、SRSの疾患のそれぞれ1.5%、8.6%、1.6%、9.5%が不妊治療を受けていた。特に、SRSでは11.2倍、BWSでは10倍と圧倒的な高リスクであった。
    (2)疾患患者のインプリント遺伝子のDNAメチル化の解析
    Bisulphite PCRシークエンス法を用い、メチル化の解析を行った。異常を認めた症例の結果は、BWS とSRSで40%の異常、またART例では、80%と高値を示した。また、ART例では、他のインプリント領域の異常がみられ、現在詳細な検討を行っている。今後、インプリント病とARTの因果関係を認めた場合は、リスク要因を特定し、ART治療の見直しを行う必要があると考えられる。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    日本内分泌学会誌、国際雑誌に投稿予定。
石戸谷 滋人(イシドヤ シゲト)
(東北大学大学院医学系研究科 泌尿器科学分野 准教授)

研究テーマ:健常日本人における総前立腺特異抗原(tPSA)と遊離型PSA測定:大規模疫学調査
  • 研究方法:宮城県対がん協会と共同で、前立腺癌検診(tPSA測定)と平行して、日本人における遊離型PSA(fPSA)の動態を縦断的に追跡、解析した。そして、fPSAとtPSAの比(F/T比)の分布について検討した。
  • 研究成果:PSAが1ng/mL以下の集団ではF/T比の中央値は33.2%と高値であり、多くの症例でF/T比が高く、free PSAの状態で存在していることが分かった。F/T比については前立腺がん高リスク群との関連性も示唆され測定が推奨されている。今回のような大規模な調査は、本邦ではまだ報告されておらず、今後前立腺生検施行の指針として有用と考える。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    1)日本人におけるPSAとF/T比に関する大規模調査
    佐々木光晴、石戸谷滋人、三塚浩二、山田成幸、斎藤英郎、伊藤明宏、荒井陽一
    東北大学医学部泌尿器科、宮城県対がん協会検診センター、第76回日本泌尿器科学会東部総会、2011.10.21,横浜
    2)前立腺癌検診における%fPSAの測定はその後の前立腺癌診断の予測因子となる(予定)
    佐々木光晴、石戸谷滋人、川守田直樹、三塚浩二、山田成幸、斎藤英郎、伊藤明宏、荒井陽一
    東北大学医学部泌尿器科、宮城県対がん協会検診センター、第100回日本泌尿器科学会総会、2012.4月

有機合成化学領域▲ページ最上段へ

磯部 寛之(イソベ ヒロユキ)
(東北大学大学院理学研究科 境界化学講座 有機化学第二研究室 教授)

研究テーマ:トリアゾール連結人工核酸の効率的伸長反応開発
  • 研究方法:トリアゾール連結核酸の連結法に用いているクリック化学の最適化の検討により、高効率な伸長反応開発を図る。
  • 研究成果:トリアゾール連結DNAの高効率的合成法を開発し、12量体オリゴマーの酵素基質機能を開拓した。逆転写酵素の基質となることを利用することで、mRNAの配列を転写したcDNAの合成法を開発した。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    Triazole-linked DNA as a primer surrogate in the synthesis of first-strand cDNA, Fujino, T.;Yasumoto, K.; Yamazaki, N.; Hasome, A.; Sogawa, K.; Isobe, H. Chem. Asian J. 2011, 7(11), 2956-2960. Efficient and improved synthesis of triazole-linked DNA(TLDNA) oligomers, Fujino, T.; Yamazaki, N.; Hasome, A.; Endo, K.; Isobe, H. Tetrahedron Lett. accepted.
岩渕 好治(イワブチ ヨシハル)
(東北大学大学院薬学研究科 合成制御化学分野 教授)

研究テーマ:環境調和型高選択的アルコール酸化手法の開発研究
  • 研究方法:高活性有機ニトロキシルラジカル型酸化触媒を設計・合成し、有用性を実証する。
  • 研究成果:アザアダマンタン型有機ニトロキシルラジカルAZADOを触媒とするアルコール酸化反応の有用性開発を目指して検討を行った結果、アミノアルコールのアルコール部を選択的に酸化して、高収率でアミノカルボニル化合物への変換を実現する新規空気酸化条件(AZADO/CuOTf/air)を見出した。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    日本薬学会第132年会(札幌:平成24年3月発表予定)
岩本 武明(イワモト タケアキ)
(東北大学大学院理学研究科 化学専攻 合成・構造有機化学研究室 教授)

研究テーマ:緻密に構造制御された金属錯体触媒構築のための新規分子足場の開発
  • 研究方法:ベンゾチオフェン系スペーサーを有する新規配位子を合成し、金属との相互作用について検討する。
  • 研究成果:金属配位子部分となるユニットとして4,7-ジブロモ-2-(4-ピリジル)ベンゾ[b]チオフェンを、また金属を有するユニットとして亜鉛ポルフィリン骨格を有する4,7-ジブロモベンゾ[b]チオフェン誘導体を合成した。また、それらの反応を検討した。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    「4,7-ジブロモベンゾ[b]チオフェンの合成とπ系スペーサーとしての応用」武藤、勝田、中村、谷本、岩本、豊田 第38回有機典型元素化学討論会 P-13 金沢(2011年12月)
上田 実(ウエダ ミノル)
(東北大学大学院理学研究科 化学専攻 有機化学第一研究室 教授)

研究テーマ:天然物リガンドの新規標的同定方法の開発
  • 研究方法:天然物リガンドの標的同定には、磁気ビーズを利用した方法が情報として用いられてきた。しかし、磁気ビーズ法は、溶液中におけるリガンド/標的間の化学平衡現象に依存する方法であるため、標的親和性の小さい内因性リガンドの標的同定には必ずしも有効ではなかった。本研究では、分子プローブ法の改良により、磁気ビーズ法と相補的な標的同定法の開発を目指す。
  • 研究成果:我々は、新たに「コンパクト分子プローブ法」を開発し、この方法が、中程度の標的親和性を持つと考えられる内因性リガンドの、細胞質標的・細胞膜標的のいずれの同定にも有効であることを示した。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    M. Ueda, Y. Manabe, Y. Otsuka, N. Kanzawa, Cassia occidentalis MetE as a cytosolic target for potassium isolespedezate, a leaf-opening factor of Cassia plants: target exploration by compact molecular probe (CMP) strategy, Chem. Asian J., 6, 3287-3297 (2011). Selected as a VIP & Cover picture.
    上田 実、「生理活性グリコシドの天然物ケミカルバイオロジー」、東北大学グローバルCOEシンポジウム、2011年11月。
    上田 実、「生物現象を誘起する新規内因性分子作用機構」、新学術領域研究 天然物ケミカルバイオロジー 第1回公開シンポジウム(大阪)、2012年1月。
    上田 実、「眠る植物と食虫植物の科学-不思議な生物現象の化学-」、日本化学会 市民公開講座(横浜)、2012年3月。
    上田 実、「配糖体型天然物リガンドのケミカルバイオロジー」、日本化学会第92春季年会特別企画「天然物ケミカルバイオロジー」、日本化学会第92春季年会(横浜)、2012年3月。
大島 吉輝(オオシマ ヨシテル)
(東北大学大学院薬学研究科 医薬資源化学分野 教授)

研究テーマ:天然資源からの自然免疫制御物質の探索とその合成化学的展開
  • 研究方法:独自に開発した自然免疫活性を検出するためのアッセイ系を用いて、微生物を中心とした天然資源から自然免疫制御物質の探索を行う。つづいて、それらの活性化合物の合成化学的展開を行い、強力かつ選択的な自然免疫制御物質を創製する。
  • 研究成果:これまでの研究で見出していた自然免疫増強物質gonytolide Aについて、γ-ラクトン構造などを有する側鎖部分を単純化した誘導体を合成した。本化合物はgonytolide Aとほぼ同等の自然免疫増強作用を有しており、今後の誘導体合成の基盤となりうることが期待される。
    また、自然免疫抑制作用を示す環状デプシペプチドaspergillicin Eについて、そのペプチド鎖の合成法を確立した。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    第43回天然物談話会
    第50回記念日本薬学会東北支部大会
    第132回日本薬学会年会(札幌)(発表予定)
桑原 重文(クワハラ シゲフミ)
(東北大学大学院農学研究科 生物有機化学分野 教授)

研究テーマ:立体構造未知の脂肪酸・ポリペプチド型超微量生理活性天然物に関する合成化学的研究
  • 研究方法:二つの長鎖脂肪酸(α-鎖, β-鎖), ガラクトース, グリセロールが前例の無いエーテル結合様式で連結した癌細胞増殖抑制物質nigricanoside類について、文献検索と立体増殖的化学合成を駆使することにより、迅速で確実な立体化学決定を行なう。
  • 研究成果:文献検索等により推定した立体化学を持つα-鎖保護体の合成を完了した。また、ガラクトシルグリセロール部位の調製を終えるとともに、もう一つのフラグメントであるβ-鎖の合成も完成に近づいている。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    Y. Kurashina, S. Kuwahara, Stereoselective synthesis of a protected form of (6R, 7E, 9S, l0R, 12Z)-hexadeca- dienoic acid. Biosci. Biotechnol. Biochem. 印刷中
佐々木 誠(ササキ マコト)
(東北大学大学院生命科学研究科 生命構造化学分野 教授)

研究テーマ:強力な抗真菌活性を示す海洋天然物の全合成研究
  • 研究方法:抗真菌剤アンフォテリシンBの約2000倍もの強力な抗真菌活性を示す海洋天然物ガンビエル酸Aの全合成を、独自に開発した鈴木一宮浦クロスカップリング反応を基盤とする収束的合成戦略により行う。また、合成化合物に対して抗真菌活性を含めて詳細な生物活性評価を行う。
  • 研究成果:A/BCD環部フラグメントとF' GHIJ環部フラグメントを鈴木-宮浦カップリング反応により連結して環状エノールエーテルを得た。続くヒドロホウ素化、酸化およびエピメリ化によりC25位の立体化学を制御したのち、F' 環の酸化的開裂、山口ラクトン化および混合チオアセタールの立体選択的アリル化によりE環を構築した。さらに閉環メタセシス反応によりF環を構築することにより、ガンビエル酸Aの全ポリエーテル骨格の合成を完成した。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    1. ガンビエル酸Aの全合成研究(ポスター発表)石貝和也、不破春彦、佐々木 誠、東北大学グローバルCOE プログラム分子系高次構造体化学国際教育研究拠点シンポジウム2011(仙台、2011年11月)
    2. ガンビエル酸Aの全合成研究(発表予定)石貝和也、橋詰佳祐、不破春彦、佐々木 誠、日本化学会第92春季年会(横浜、2012年3月)
正田 晋一郎(ショウダ シンイチロウ)
(東北大学大学院工学研究科 バイオ工学専攻 機能高分子化学分野 教授)

研究テーマ:糖オキサゾリンの一段階合成法の確立
  • 研究方法:糖オキサゾリンは、N-アセチルグルコサミンを含む各種オリゴ糖や糖タンパク質医薬品など多岐にわたる配糖体の酵素合成における重要な中間体であり、その簡便な合成法の開発により、有機合成化学分野における配糖化反応の格段の効率化が期待できる。すでに脱水縮合剤DMCを用いることにより、水中で無保護の糖を直接オキサゾリン化する方法を報告しているが、本研究では、DMCによる手法の操作性の改良および副生成物の除去を目的として、DMCに代わりベンゾイミダゾリニウム塩を用いる試薬を新たに開発し、オキサゾリン化反応ならびに糖加水分解酵素による配糖化を試みた。
  • 研究成果:σ-フェニレンジアミンから3段構の反応を経て塩化2-クロロ 1,3-ジメチルベンゾイミダゾリニウム(CDMBI)を合成した。N-アセチルグルコサミン水溶液に塩基の存在下、0℃において3当量のCDMBIを反応させることにより、目的とするオキサゾリンを合成した。この際、用いる塩基として7.5当量のリン酸3ナトリウムを使用すると、収率は85%にまで向上した。反応終了時に生ずるCDMBIの副生物であるDMBIは、水に溶解し難く、ろ過することによって容易に除去することができた。現在、糖供与体として細胞表層に存在するN-結合型オリゴ糖のオキサゾリンを本手法を使って合成し、貴財団からの震災特別支援で購入した変異型エンドM酵素によるワンポット配糖化反応について条件を詳細に検討中である。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    日本化学会第92春季年会(横浜)における口頭発表ならびに学術雑誌への投稿を予定している。
寺田 眞浩(テラダ マサヒロ)
(東北大学大学院理学研究科 化学専攻 境界領域化学講座 反応有機化学研究室 教授)

研究テーマ:基質認識型有機分子触媒による次世代分子変換反応の開発研究
  • 研究方法:基質認識能を有する有機分子触媒として、キラルブレンステッド酸ならびに塩基触媒を設計開発し、効率、選択性に優れ、かつ触媒の回収再使用系の構築を可能とする環境負荷低減型分子変換プロセスへの展開を最終目的とする。
  • 研究成果:環境負荷低減型分子変換反応による革新的化学プロセスへとつながる有機分子触媒による反応開発を行い、キラルリン酸触媒を用いたベンゾピリリウム塩の不斉還元反応などの開発に成功した。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    Enantioselective Transformations via Activation of Electron-Rich Double Bonds Using Chiral Phosphoric Acids, M. Terada, International Conference of Catalysis & Fine Chemicals 2011, Dec. 4-8 (2011). キラルブレンステッド酸触媒を用いた不斉合成:金属錯体との融合を目指して、寺田眞浩、第39回オルガノメタリックセミナー、Nov. 18 (2011). 他 国内外での学術発表23件(予定も含む)
徳山 英利(トクヤマ ヒデトシ)
(東北大学大学院薬学研究科 医薬製造化学分野 教授)

研究テーマ:転位カスケード反応を基盤とした新規インドールアルカロイドの全合成研究
  • 研究方法:従来の合成法では構築が困難な複雑な縮環系の天然物に対し、転位反応を含む独創的な多段階連続反応を駆使することで、画期的な全合成法の開発を行う。また全合成を通じて、これまで合成の困難さゆえに未開発であった医薬資源の掘り起こしを行う。
  • 研究成果:研究の早期的再開により、この数ヶ月の研究で、アミノスピナールを有する高次構造アルカロイド(+)-haplophytineの合成研究にかなりの進展がみられた。
    すなわち、これまでの酸化─骨格転位カスケード反応ではmCPBA等の過酸を必要としたが、今回新たに空気中の酸素を酸化剤とした環境調和型のカスケード反応を見出すことができた。本反応は、グリーンケミストリーの観点からも優れた反応であり、今後の波及効果が大きいものと推測される。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    Total Syntheses of (+)-Haplophytine and the Related Compounds
    AIMECS11, November 29-December 2, 2011 (Tokyo, Japan)
平間 正博(ヒラマ マサヒロ)
(東北大学大学院理学研究科 化学専攻 有機分析化学研究室 教授)

研究テーマ:天然および非天然機能分子の全合成・解析研究
  • 研究方法:特異な生物活性を有する有機分子の人工合成と生体高分子との機能解析
  • 研究成果:種々のがん細胞に対して強力な細胞毒性を有する環状ポリオキシビアリールエーテル、gravicycleの全合成を完成した。また、最も強力で重要なシガテラ毒、シガトキシンCTX1Bの新合成法を開発し、ミリグラム単位の全合成を可能にした。また、無毒の全合成中間体のタンパク質コンジュゲートを人工抗原として用いて、CTX1Bを高感度で認識するモノクローナル抗体の作成にも成功した。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    1) Development of Monoclonal Antibody Against the Left Wing of Ciguatoxin CTX1B: Thiol Strategy and Sandwich ELISA Detection. T. Tsumuraya, K. Takeuchi, S. Yamashita, M. Hirama, and I. Fujii, Toxicon, 投稿済(2011).
    2) The First Total Synthesis of Gravicycle. K. Ueda, I. Sato, and M. Hirama, Chem. Lett., 印刷中(2011).
    3) Practical Total Synthesis of CTX1B. K. Takeuchi, S. Yamaashita, and M. Hirama, 準備中。
山口 雅彦(ヤマグチ マサヒコ)
(東北大学大学院薬学研究科 分子設計化学分野 教授)

研究テーマ:生物活性化合物の開発を目的とした有機イオウ・リン化合物の合成
  • 研究方法:遷移金属触媒を用いる有機イオウ・リン化合物の合成反応を数多く開発して、多様な生物活性ヘテロ環化合物を提供する手法を確立する。
  • 研究成果:ロジウム触媒を用いて不活性な芳香族メチルエーテルC-O結合切断反応とベンジルケトンC-C結合を切断する反応を開発した。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    M. Arisawa, Y. Nihei, T. Suzuki, and M. Yamaguchi, submitted.
    M. Arisawa, M. Kuwajima, and M. Yamaguchi, in preparation.
山本 嘉則(ヤマモト ヨシノリ)
(東北大学大学院理学研究科 分子変換学寄附講座 教授)

研究テーマ:フラーレン誘導体の新規合成法の開発による有機薄膜太陽電池の変換効率の向上
  • 研究方法:高効率な有機薄膜太陽電池を開発するため、新触媒反応を用いた簡便迅速な官能基化フラーレンの合成を行う。合成した種々のフラーレン誘導体をアクセプターとして有機薄膜太陽電池素子を作製し、その光電変換効率を評価する。
  • 研究成果:最近、我々はコバルト触媒とマンガン還元剤の存在下、フラーレン(C60)と様々な活性アルキルブロマイドが室温で効率的に反応し、種々の官能基を有する単置換ヒドロフラーレン誘導体が高収率で得られることを見い出した。今回、本反応を用いることにより様々な単置換ヒドロフラーレン誘導体を合成し、有機薄膜太陽電池のアクセプターとして光電変換効率を評価した。その結果、いくつかのフラーレン誘導体が市販されているPC61BMとほぼ同じ変換効率を与えた。
  • 学術発表:
    (予定も含む)
    モノ置換フラーレン誘導体合成と有機薄膜太陽電池への応用(投稿中)。

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