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海外留学助成 循環器領域
留学紀行文

2002年受賞者
SEMCで学んだこと

名古屋大学大学院医学系研究科 循環器内科学 講師 
新谷 理

私が留学したSt. Elizabeth's Medical Center(SEMC)は、Bostonのダウンタウンから数キロ離れた西郊外にある病床数約400床のTufts大学医学部の附属病院のひとつです。私が属しているDivision of Cardiovascular Researchは、SEMCに併設された研究施設ですが、Boston市内にあるHarvard大学の関連施設に比べると規模はかなり小さくこぢんまりとしています。

このラボが有名になったのは、なんといっても故Isner教授によるVEGF遺伝子を用いた治療的血管新生の開発です。これは米国FDA(食品・医薬品局)が循環器領域では世界で初めて承認したヒト遺伝子治療プロトコルでした。Isner教授の急逝後、全ての基礎および臨床研究部門は、estrogenやTNF受容体と血管新生の関与などを研究されていたLosordo教授が引き継ぎました。残念ながら、私はIsner教授の直接指導を受けていませんが、彼から頂いた研究テーマをLosordo教授の元、成し遂げることができました。また、再生医学の分野に血管生物学を導入した第一人者である浅原孝之先生も在籍されていました。慣れない環境で四苦八苦している者にとって、これ程力強いことはありませんでした。

週2回行われるラボカンファランスは、循環器内科や心臓外科といった臨床医も多数加わり、基礎研究者からの問題提示や結果報告に対し積極的な意見交換が行われます。良い研究結果が出た際には、その場で臨床プロトコルの検討まで行われ、まさにfrom bench to bedsideといった感があります。私は、このカンファランスにより、研究における問題解決や方向性の決定だけでなく、他施設との共同研究やトランスレーショナルリサーチといった新たな研究概念を磨くことが出来たと思っています。現在、Losordo教授はNorthwestern大学へ移りましたが、先日、シカゴ訪問時に行われていたカンファランスは、やはりSEMCで我々が経験したスタイルで行われており、懐かしさを感じました。

私はBANYU FELLOWSHIP AWARDSの助成により留学させて頂きましたが、アメリカで多くの研究者たちと交流する機会を得ることが出来ました。現在でもその交流の多くは続いており、私のかけがえのない財産です。改めて、このような貴重な機会を与えて頂いたことを感謝いたします。

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