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海外留学助成 疫学・生物統計学領域
留学紀行文

川口 淳

2006年受賞者
バイオ統計学の本場より

久留米大学 バイオ統計センター 講師 川口 淳

私は2006年の秋から2年間アメリカのノースカロライナ州チャペルヒルにありますノースカロライナ大学のバイオ統計学部門に留学しました。ここは他デューク大学、NC州立大学の3大学を中心にリサーチ・トライアングルを形成し、SAS本社も所在するバイオ統計の街です。ノースカロライナ大学のバイオ統計学部門は今年で60周年という伝統があり、Faculty約50名、学生約150名のアメリカでも有数の部門です。私はそこで脳の機能を測定する手段の1つであるfunctional magnetic resonance imaging(fMRI)データの統計解析手法の開発に従事し、Young Truong先生の師事を仰ぎました。Truong先生からは時には白熱する議論の機会を多く頂き、モチベーションを高く保ち続けられるようご配慮頂きました。さらに海外生活の面でも大変お世話になりました。また、神経学部門のXuemei Huang先生からはfMRIデータの仕組みや脳の臨床的な知識についての指導を受けました。Huang先生も情熱溢れる方で統計手法にも興味を持って頂きました。両先生のご指導のおかげで、あるタスクが与えられた被験者の脳fMRIデータからタスクに関連する脳の賦活部位を同定するための統計手法の開発を行い、その成果をコロラド州デンバーで行われたアメリカ統計連合大会で発表する事が出来ました。私の研究室はバイオ統計学部門のGary Koch先生のLabに博士課程の学生と共に席を頂きました。研究室には台湾、中国、韓国、ナイジェリア、チリからの留学生が在籍し、お互いの国のことや研究について話をして有意義な時間を持つ事が出来ました。週末にはKoch先生と臨床試験のクロスオーバーデザインにおける解析手法の研究を行い、成果がBiometrics誌に採択されました。先生方とは日本に帰った今でも共同研究を続けています。

BANYU FELLOWSHIP PROGRAMのおかげでとても貴重な2年間を過ごす事が出来ました。今後もこの経験を活かし、日本のバイオ統計学の更なる発展に貢献していきたいと思います。

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