オーガナイザーから

第30回記念 万有仙台シンポジウム
万有仙台シンポジウムが育んだ有機化学

第30回記念 万有仙台シンポジウムOrganizer
東北大学大学院理学研究科化学専攻 教授 寺田 眞浩

万有仙台シンポジウムが30周年を迎えました。この記念すべきシンポジウムを開催するにあたりまして、東北地区における有機化学を長きに渡り力強くお支え頂きましたMSD生命科学財団に、改めまして深く感謝申し上げます。
折しも、元号が令和に改められ新たな時代の幕開けを迎えましたが、第1回万有仙台シンポジウムが開催されたのは1990年、平成時代の始まりとほぼ同時期になります。この間、万有仙台シンポジウムで受けた刺激がその後の研究のきっかけとなった東北地区の若き有機化学者は決して少なくないはずです。記念大会である今回を迎えるにあたり、過去に本シンポジウムを経験してアカデミアに職を得た東北地区の卒業生の方々、あるいは他大学・機関に職を得た教員の方々をリストアップしましたところ、160名を超えることが判りました。そのなかから、今大会のテーマ「万有仙台シンポジウムが育んだ有機化学」に掲げました通り、まさに万有シンポジウムが育んだ逸材である先生方をお招きしました。仙台で研究の足場を築かれ、それぞれの分野で最先端の研究を展開するに至ったドラマチックなストーリーとその根底にある化学に対する熱き想いと深い洞察力を存分に語っていただきます。先輩方である講演者は、万有仙台シンポジウムに参加する若き研究者の皆さんにとってまさにロールモデルといえる存在です。
一方で、平成時代は科学技術の飛躍的な発展が遂げられた時代でもあります。特に情報化社会の高度化に向けた様々な技術開拓がなされ、有機化学分野においても大きな影響を受けた時代だったのではないかと思います。膨大なデータベースをもとにした合成経路の探索、あるいは計算科学に基づくモデリングや遷移状態解析などが手軽にできるようにもなりました。膨大なデータから必要情報を抽出して使いこなすことはもちろんですが、その一方で、既存のデータベースにはないものを生み出す創造性への価値観がより一層高まることは疑う余地もないかと思います。
孔子は「三十にして立つ」との言葉を残していますが、時代は令和へと引き継がれ一つの区切りとなりました。次のステージへと昇る節目を迎えたとの思いのもと、本シンポジウムを通して、自立した創造性あふれる研究者として有機化学の新しい時代を切り開く力を是非手にして欲しいと心から願っております。