オーガナイザーから

第29回 万有仙台シンポジウム
未来を指向した有機合成化学

第29回 万有仙台シンポジウムOrganizer
東北大学多元物質科学研究所 教授 永次 史

 このたび第29回万有仙台シンポジウムをお世話させて頂くことになりました、東北大学多元物質科学研究所の永次です。どうぞ、よろしくお願いいたします。今回のシンポジウムを計画するにあたり、約10年ほど前にNatureに掲載された「化学は終わったのか?」という衝撃的な記事を思い出しました。その記事は科学において化学は重要な要素技術であるが、化学には解決すべき大命題がまだ残っているのか?という問いかけから始まります。確かに、物理学では「宇宙はどのようにはじまったのか?」、生物学では「生命とは何か」という大きな命題の解決に向けて、研究が進められていることに異論を唱える研究者はいないでしょう。では有機化学においてはどうでしょうか?確かに他の2つの科学のように、共通の大きな命題はないように思われます。しかし、裏を返せば、有機化学では個々の研究者が命題(化合物)を独自に設定し、その解決に向けた研究を進めることができる唯一の学問分野ではないでしょうか?さらにその命題を解くことで、化学だけにとどまらず、生物学、物理学の大きな命題の解決に向けた糸口を提供できる可能性を持っていると考えられます。
 本シンポジウムでは独自のコンセプトに基づき「命題」を設定し、その解決に向けた研究を進められている講師の先生方をお呼びしました。先生方から研究を進める独自のフィロソフィーをお聞かせ頂けると思いますので、学生さん、若い研究者の方々には有機合成化学の様々な可能性について学んで頂ければと思います。
 万有仙台シンポジウムは来年、30周年という節目の年を迎えます。大変長きにわたり、学生、研究者に対して刺激を与える、他には類のないシンポジウムに多大のご支援を頂きました、公益財団法人万有生命科学振興国際交流財団(現MSD生命科学財団)に深く感謝を申し上げます。