“MBLA 2014”受賞者

BCA/MBLA講演ツアー紀行文

鷹谷 絢
“MBLA 2014”受賞者
MBLA2014講演ツアーを終えて
東京工業大学大学院理工学研究科 准教授 鷹谷 絢

「日本の有機合成化学は20年後どうなっていると思うか?」この講演ツアー中,何度も聞かれた質問です。まさにLectureship Award MBLA が選考対象とする我々世代の「今後」が,世界で注目されているということを実感しました。良い機会だと覚悟を決め,自分の化学研究に対する想いと夢を語り,時に熱く議論しました。教授,ポスドク,学生,企業研究者など様々な立場の海外の人々と,膝をつき合わせてこんな話ができたのも,MBLAの醍醐味の一つではないでしょうか。MBLAが,人とその未来に投資する賞である,というのがよくわかります。
 今回,11人目のMBLA受賞者として,欧米のトップスクール等10カ所を回る世界一周講演旅行に行かせていただきました。日本の若手研究者にこのような素晴らしい講演ツアーの機会を与えてくれるMBLAは,唯一無二の存在です。他では絶対にできない,本当に貴重な経験を積むことができました。紙上の憧れの存在だった巨匠達の研究哲学を直に聞き,新進気鋭の若手研究者達の研究プロポーザルに刺激を受け,新しいChemistryが芽吹く予感にドキドキしながら,大いに議論を楽しみました。また彼らは一流の教育者でもあり,その努力の結晶たる学生達は,皆目を輝かせながら自分の研究成果を自信満々に説明します。この3週間は,純粋にChemistryを楽しむと同時に,自分に足りない部分を再認識し,化学研究と教育に対する想いを新たにする最高の機会でした。20年後,冒頭の問いに対する答えを自信持って示せるよう,今回の経験を糧により一層努力していきたいと思います。


最後に,このような素晴らしい機会を与えてくださいました山本尚先生,審査委員の先生方,ならびに万有生命科学振興国際交流財団の皆様に厚く御礼申し上げます。また研究をご指導いただいた岩澤伸治先生,一緒に実験を頑張ってくれた学生の皆様に心から感謝いたします。

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