留学体験記

  • 自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器内科
  • 坂倉 建一
  • 留 学 先:CVPath Institute. Gaithersburg. USA
  • 留学期間:2012年~2014年(2年間)
【留学を決めた理由】
 医師として働き始めて数年が経過する頃から、一度は海外で研究留学をしてみたいと漠然と考えるようになりました。ただ、その漠然としたイメージが具体的な留学前の活動(留学先探し、留学先のボスとの面談など)につながるまでには更に多くの年月を要しました。最終的には留学することで、自分自身の研究活動が大きくStep upできると 考え、縁あって米国のCVPath Instituteに留学することができました。尚、留学期間は最初から2年と決めていました。

【留学して良かったこと】
 まず第一に多くの論文を限られた時間のなかで発表することができたのは非常にラッキーでした。European Heart Journal, JACC, JACC Cardiovascular Interventions, Circ Cardiovascular Interventions, EuroInterventionというImpact factorの高いJournalにFirst authorとして論文を発表できましたが、2年というリミットを考えると、ほぼ最大限の成果を上げることができたと考えます。日本で臨床を行いながら、上記の論文を同じペースで連発することは非常に難しいことです。

 次に、ボスのDr. Renu Virmaniという世界的に著名な研究者と濃厚な時間を過ごすことができたのは、一生の財産です。

【留学して苦しかったこと】
 最初の原著論文がAcceptされるまでの1年間は精神的につらかったです。「もし、2年間で1本も論文がacceptされなかったら、どうしよう」という不安があることで寝つきが悪いこともありました。

【留学を通して学んだこと】
 アメリカ人はあまり長時間働かずに、家庭を大切にするというのはある程度は真実だと思いますが、結局のところアメリカ人でも一流の医師、研究者はハードワーカーが多いです。ボスのDr. Virmaniは土日も激しく仕事をしていました。そして、休日出勤や夜遅くまで残って仕事をするという日本人的なスタイルは、ハードワーカーのボスには好かれやすいです。日本で働いた経験を生かして、土日の休日出勤を積極的にするようになってから、ボスとの信頼関係が築けたと思っています。結局は要領ではなく、地道な努力が評価されるのだと思います。

【後輩達へのメッセージ】
 留学は大抵の人が一生に一度の経験になるはずですから、一概にどうなれば成功もしくは失敗という定義は難しいです。大切なのは、目標を自分できちんと立てて、留学することかと思います。ただし、目標をきちんと立てるためには、留学先で「何をすることができるのか」などを事前に把握する必要があります。

 留学してから、考えるというスタンスでは留学後の貴重な数か月を無駄にしてしまうかもしれませんので、事前の情報収集は綿密に行ってください。