第4回創薬工学シンポジウムの内容について
実行委員長 山本恵司 (千葉大学大学院薬学研究院)

 「創薬工学における最先端分析技術の新展開 −Process Analytical Technologyの観点から−」をテーマとして、今回の創薬工学シンポジウムでは分析化学・技術の現代的側面を探りつつ、医薬品の生産技術の将来像や夢について語り合いたいと考えています。副題にあるProcess Analytical Technology(PAT)とは生産工程中の各種分析により製品の品質を保証するシステムであり、医薬品の生産を安全かつ効率的に進めるためのこれからの技術革新につながる考え方と評価されています。本年9月には米国FDAからPATについて成案が発表され、品質と生産と科学がより一体となって産業の発展・人類の福祉の向上へ一つのステップを踏み出そうとしているといえます。技術の発展は基礎科学の進歩と表裏一体となって進行しており、必要に応じてあるいは突然のひらめき(セレンディピティー)がSeedとなりブレイクスルーにつながってきたことは良く理解されています。本シンポジウムがより多くの皆様にインパクトを与え、大きな発展・成果に結びつくことを願っております。
 今回のプログラムは大きく分けて3つのセッションから構成されています。まず最初に、日本分析化学会会長であり、キャピラリー電気泳動の世界の第一人者でいらっしゃる寺部先生から幅広い分析化学の研究成果についてアカデミアの立場から紹介いただきます。次のセッションでは小嶋先生からはPATの意義・総説を、尾崎先生からはその中で取り上げている近赤外分光法について詳しくお話いただくこととしております。
 午後のセッションでは、原薬から製剤の生産に実際にどのような考え方・方法でPATが活かされているのかを日米の研究者から発表していただくとともに、升島先生には光音響法についての基礎と応用についてご講演いただくこととしております。
 この他にポスターセッションを設け、日頃の研究についてもディスカスできる場となればと思います。多くの皆さんとのディスカッションを通じて製薬企業における未来型生産技術の姿に迫りたいと考えています。皆さんの活発なご参加を期待しています。
 若い皆さんが創薬工学に興味を持たれ、今後の活躍の一助になれば幸いとするものです。

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