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BCA/MBLA
講演ツアー紀行文

“MBLA 2004”受賞者
Merck Banyu Lectureship Awardの講演旅行で学んだこと

東京大学大学院薬学系研究科 教授 井上 将行

筆者は、第一回Merck Banyu LectureshipAward(MBLA)のサポートを受け、2005年10月9日から22日の2週間に渡って、米国6大学と製薬会社2社の計8ヶ所で講演をする機会をいただきました。4年前にMBLAにおいて経験したことや、エキサイティングで張り詰めた二週間の経験と沢山の素晴らしい人々との出会いは、今でも私の研究者としての基盤になっています。

メリラクトンAとシガトキシン類の全合成の話題を中心に、一時間の講演(タイトル“TotalSynthesis of Neuromodulatory NaturalProducts”)を準備しました。万有生命科学振興国際交流財団(万有財団)の山本慧理事長(当時)は、MBLAは「他流試合のある武者修行」であるとおっしゃっていましたが、確かにそういった面がありました。米国ではとくに、サイエンスの内容だけでなくどのくらいよいプレゼンテーションをするかでその人の能力をはかる傾向があるため、短い時間で「腕」を評価されることになります。そのため、MBLA以来、独自の視点を見せることが出来る、わかりやすくコンパクトな講演内容を心がけるようにしました。

また、講演旅行中に、様々な主要研究機関の第一線で活躍する研究者と、多くの情報交換をしたことによって、米国でのサイエンス事情の一面を知ることが出来ました。特にどの先生方も、現在までの化学と自分の創出した新しい化学の「差別化」を非常に意識したプレゼンテーションをするのが印象的でした。どのようなインパクトを与えるかということを常に考え、創造的であろうとする彼らの態度は、大変勉強になりました。2年前に、東北大学理学研究科から、東京大学薬学系研究科へ異動し、研究室を主宰する機会を得ましたが、このときの経験を生かして、実践的で創造的な研究プロジェクトを遂行できるように、日々スタッフと学生と努力を重ねております。

最後になりましたが、このような貴重な体験をさせてくださった万有生命科学振興国際交流財団に、心よりお礼申し上げます。

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