“MBLA 2012”受賞者

BCA/MBLA講演ツアー紀行文

鳶巣 守
“MBLA 2012”受賞者
MBLA2012講演ツアーを終えて
大阪大学大学院工学研究科 准教授 鳶巣 守

「化学者になってよかった!」純粋にそう思えるツアーでした。
日本の若手研究者が米国トップスクールで講演する、そんな夢のような機会を与えてくれるMBLAの9回目の受賞者に、選んでいただきました。さらに、幸運なことに、今回からヨーロッパの名門校も加えていただけるとのこと。フタを開けてみれば、LMU (Prof. Knochel), Max-Planck-Institute (Prof. List), ETH (Prof. Carreira), Merck Research Laboratories (Drs. Yasuda and Tschaen), MIT (Prof. Danheiser), Harvard大 (Prof. Jacobsen), Caltech (Prof. Fu), UC Berkeley (Prof. Toste), Stanford大 (Prof. Trost)、3か国、計9か所を訪問する、豪華世界一周ツアーとなりました。
最大の収穫は、自分の研究を、自分の言葉で、自分の尊敬する世界の化学者たちに伝えることができた、ということです。さらに嬉しいことに、講演後には多くの質問やコメントが返ってきました。反応機構に関する鋭い指摘、異分野からの新しい応用の提案、たまに頂く身に余る褒め言葉。こういった反響を直に聞くことは、何よりも今後の研究に対するモチベーションをかき立ててくれました。
もう一つの収穫は、たくさんの知り合いができたことです。本当に「たくさん」です。今回の約3週間のツアーで、ディスカッションした研究者は111人(!)にのぼります。これからアカデミックポジションを目指すという大学院生やポスドク、知的好奇心と実利の狭間で化学を楽しむMerckの研究者、自らのキャリアを切り拓こうと野心的な若手教員たち、飽くなき挑戦を続ける教授陣、すべての人たちとの会話が刺激的でした。研究者、教育者、そしてひとりの人間として、自分のあり方を再考するきっかけをもらいました。

このような、他では決して得られない機会を与えていただいた山本尚先生はじめ選考委員の先生方、万有財団の方々、データも何もない着任直後から多くの外国人教授と接する機会を作っていただいた茶谷直人教授、そして何より、胸を張って講演できるだけの研究成果をあげてくれた共同研究者たち、皆様に心の底から感謝します。

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